ISBN:4043611137 文庫 宮部 みゆき 角川書店 2006/05/23 ¥740

…ワタルの選択した願い。


下巻なので特にネタバレ注意



幻界を形成しているのは、鏡。
二つの鏡があって、片方は現世につながり、片方は幻界になれなかった魔界につながっている鏡。
幻界に無かった、機械という動力の設計図を、過去の旅人が持ち込み、元々北と南で別れていた幻界で戦争が起きようとしている。
最後の宝玉が、北にある事を知ったミツルによって、北で封印されていた魔界へ通ずる鏡が解かれてしまう。その事実をしったワタルはミツルを止める為に、仲間と協力して北へ。

願いを叶える為に手段を選ばないミツル。
幻界をこのままにしてはいけないと考えるワタル。

二人の旅人が対立するという形になって、その中で、仲間の死があったり、魔界からたくさんの怪物が出てきたり、そして運命の塔へ行く為に仲間と別れたり。
下巻は最後というだけあって、泣き所が多いです。特に、ミツルとワタルの最後の会話や、ワタルの選んだ願いや、何より、幻界から現世へ帰ったワタルを想う、キ・キーマとミーナの気持ちが描かれているあたりは、ボロボロに泣きながら読んでいました。久々に文章を読みながら泣いた。
勿論、映画は見るつもりですが、これはヤバイかもしれない。多分、映画館で泣いているはずだ。

久々に夢中になって読んだと思う。読んでいくのが楽しみだった。ワタルはどうするんだろう、ミツルはどうするんだろう。ずっとドキドキしてた気がする。ワタルが選んだ答えも、納得できるし、そのあと現世で亘が成長したというのもちゃんと解るし。確かに亘は幻界で旅をして、そこで成長して帰ってきた。感動。

映画は、2時間もあるのか知らないけれど、どのみち1本にこれをまとめるのは無理だと思うから色々削られるのは想像がつく。でも映像、音楽に関してはかなり良さそうだし、幻界を映像として観れるのだったら、文句は無いです。観る前からDVD買おうと思っているくらいですから。

あとはゲームが気になる。PS2の「ワタルの冒険」は映画本編らしいのでそれはともかくPSPの「新たなる旅人」は本格RPGで、しかもワタル達もちゃんと出てくるらしいし、凄く気になって仕方が無い。

PSP……持っていないのですが。
ISBN:4043611129 文庫 宮部 みゆき 角川書店 2006/05/23 ¥700

…描かれる幻界。

中巻は、いよいよ本格的に幻界でのワタルの旅が始まります。

ワタルが幻界へ来るよりも早く、ミツルは既に旅を始めていて、でも女神のいる運命の塔で叶えられる願いはひとつだけという、ここでもワタルは別の「運命」を背負うわけです。
見た事もない世界で、一人で旅をしなければないらないワタルには、やがて仲間が出来る。こういう所は、ゲームのRPGっぽさがあって、ワタル自身もゲーム好きで(これは上巻でかなり語られる)、それと照らし合わせるという場面がよく出てきます。

そして何より仲間達が魅力的。トカゲのような水人族のキ・キーマや猫の容姿をもったネ族のミーナを始め、行く先々で知り合う人々が個性的で良い。幻界が、現世の人の心が作った世界であるために、そこには現世に似た政治があったり、現世で見知っている人達の姿が見られる事もある。実はこれが後半かなり重要な要素になってきます。

兎に角中巻で描かれる幻界の様子は、一度行ってみたくなるような世界観です。楽しい事とか哀しい事とか様々な感情が入り乱れています。ワタルの持つ、勇者の剣に納める宝玉を探しつつ目指す運命の塔。そして幻界の重要な秘密が解き明かされていき、いよいよ最大の事件が起こる。
ここから物語りは、かなり深刻です。そして例によって早目に下巻を購入し、準備だけ万端にしておいた僕でした。
ISBN:4043611110 文庫 宮部 みゆき 角川書店 2006/05/23 ¥700

…映画を見る前に原作チェックしたかったので、読みました。

一応、ネタバレ告知だけしておきますね。

 
 
 
文庫版なので、小説では3部作レビューしたいと思います。まずは上巻。
上巻の印象は、とにかく亘がどういう子で、どう考えて、どう動くのかという事を説明しているに尽きるといった感じです。後で幻界へ旅立つという前情報は映画の予告なので知っていたので、それまでの経緯が事細かく描かれているんですね。これが実に全体の三分の一ほど使って語られるので、結局上巻はほとんど現実世界の話です。
幽霊ビルへ潜り込んでみたり、一つ上のやつがヤバイやつだったり、美形の転校生がきたり。けれど、そうした日常の中に少しずつ非日常が入り込んでくるようすが、この先の冒険を示しているのでどんどん読み進めたくなります。
そして亘にふりかかる運命があまりにも哀しい。自分の父親が、別の女の人と暮らすから家を出て行くなんて。そんなの小学生には理解するとか言う前に何が何だか解らなくなって当然というか。そういう局面での、亘の心情などはかなり深く書かれているので、読んでて凄く辛かった。
美鶴も美鶴で、悲惨な過去を持っているし、それも重なって色々と辛い。何度かため息も出ました。

が、いざ幻界へと物語が進むと、気持ちも自然と亘にシンクロしてきて、上巻の最後の章に差し掛かったときには中巻を買ってきていたのでした。(一気に全部買えばよかったんですが)

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